アッベ屈折計をお借りしました。
今とりくんでいる装飾体は反射屈折光学系の一種ですので、屈折率は重要なパラメータです。この装飾体に係る登録済の特許7件のうち4件では、請求項1が屈折率に基づく数値限定を含みます。先週、みなし取下げになるギリギリのタイミングでようやく特許査定が出たもう1件も同様です。つまりこれらの特許では、透明体の屈折率が、権利範囲を定める上で必須の要件になっているということです。
でも、屈折率を測定したことはありませんでした。以前、都産技研本部で、エリプソメータでアクリルの屈折率を測ってもらったことがありますが、依頼試験で、自分で測ったわけではないし、ちょっと特殊な測定方式だったので、臨界角で屈折率を測る、昔ながらのアッベ屈折計で屈折率を測ってみたかったのでした。そこで、だいぶ前に貸出を申込んでいたのですが、やっと借りられました。
これぞ光学機器、といういでたちです。それも幾時代か昔、光学がまだ輝いていた頃の。
まんなかへんにあるのが光源で、この方式の屈折率測定の標準光源であるナトリウムd線(約589nm)で光ります。上の画像のように部材にはめこんで照射するのかと思いきや、はずして手で持ち、見えやすいところにかざす、というおおざっぱなものです。その光が、ステージ上の試料と(密着させる液と)その下のプリズムとの界面で起こす全反射像を手前のレンズで目視しながら、全反射の角度から屈折率を導きます。100年以上前に開発された計測法なのですが、今でもこれが広く用いられています。果物などの糖度測定もこの原理で行われます。
ですが、試料のうちたがいに垂直な2面を平滑面にしておく必要があったのに、その手持ちがなく、加工しようとしたものの貸出期間中に間に合わず、しょうがないので適当なあり合わせの破片で測定しました。参考値どまりです。貸出の前に、準備できるよう詳しく説明してほしかったところです。
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