各種手続きの期限については、どの出願人に対しても、法に基づき定められたとおりの同じ扱いが行われ、完全に公平です。
と書きましたが、特許制度には期限徒過の場合の救済策もあります。たとえばある特許出願に対して拒絶理由通知書が発送されると、応答可能な期間は60日です。この期間内に意見書や手続補正書を提出しなかった場合、本来は期間経過後の応答はできませんが、期間後2カ月以内であれば、「期間延長請求書(期間徒過)」の提出により、2カ月の延長が認められます。ただしその際、51,000円の手数料を納付する必要があります。
これは、この手数料を支払える者だけが救済の恩恵を受けられるという意味で、リスティング広告費を負担できる者だけがGoogleに厚遇される、という構図と共通するように見えます。つまり、金次第で受けられるサービスがちがうなら特許制度も公平とはいえないのではないか、という疑問が湧きます。
しかしながら、期間徒過の場合の期間延長はイレギュラーな対応であって、正規の手続きを行っていなければ発生しない費用です。意見書での反論のための実験に日数を要するなど、60日の当初応答期間内に応答できない理由があったとしても、当初応答可能期間内に期間延長請求を行えば、2カ月の延長を2,100円で行えるのですから、期限管理をきちんと行っていればすむ話です。51,000円の負担が必要になるのは期限管理がずさんだった場合であって、それをもって貧乏人には酷だとはいえません。それに、いずれにせよさほど高額とはいえず、またこの支払いの有無は審査内容にはまったく影響しませんから、金持ち優遇にはあたりません。特許料の支払い忘れの場合も、一定の期間内なら倍額を支払えば追納が認められますが、これも同じことです。
Google広告では、検索ワードごとに入札が行われ、高価格であるほど広告の中でも上位に表示される、ということのようです。明らかに、支払った金額に応じて扱いが異なり、多く払うほど厚遇されます。Google検索の表示結果はGoogleの基準による評価の反映です。広告料の支払いにより、この評価に手心を加えてもらえるわけではありませんが、この評価とは別の尺度で順位づけされる、より有利な枠を与えられます。別の尺度とは何かといえば、広告の入札単価です。競合相手以上の入札単価を支払えば競合相手より上位に広告が表示されるという点では、競争としてフェアなのでしょうが、公平とはいえないと思います。対して、特許制度はやはり公平です。
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