Google検索で、ウェブでは1ページ目のそこそこの掲載順位につけられるようになりました。そのわりには表示回数・クリック数とも少ないですが、休み明けに増えるのかもしれません。Google広告によれば、この検索ワードの月平均検索ボリュームは1000~1万とのことなので、平均で1日に少なくとも30程度は表示されるはずですから。
でも、画像検索の掲載順位は90前後のまま一向に上がりません。ウェブとの差の原因もわからず、対処のしようもありません。画像検索の結果の方が検索ページ内で上位に表示されるので、クリック数が上がらない原因はこれかも、とやきもきしますが、それ以上何もできません。
検索エンジンでの掲載順位向上対策、いわゆるSEOと、知的財産権獲得のための特許庁との交渉とは共通するものがある、とここで何度か述べてきました。権力をもって君臨する巨大なシステムを攻略して望む結果を得る、あるいはハックする、という点では、確かに共通するものはあるでしょう。しかし、まったく異なるところもあります。
ひとつは、検索エンジンは個々のwebサイトを評価するが、特許庁の各種審査は評価ではない、ということです。ほぼ3年前に、ここで【特許】「上を出せ」に平然と応じるシステムという記事を投稿しました。基本的にはこの理解を今も維持していますが、完全に理解を誤っていた点がありました。当時は特許の審査も評価に属すると考えていましたが、これは誤りです。評価とは、独自定義でない限りは、対象の価値を定めることです。特許審査は発明の価値についてはいっさい判断しませんから、どうあっても評価ではありません。意匠審査や商標審査も同様です。
たとえば、産業上の利用可能性の要件を満たさない発明は特許権を得られません。特許・実用新案審査基準第III部第1章では、「人間を手術、治療又は診断する方法の発明」「業として利用できない発明」「実際上、明らかに実施できない発明」のいずれかに該当する発明は、産業上の利用可能性の要件を満たさないとし、その判断を明確かつ公正公平に行えるよう、詳細な判断基準や具体的な実例を示しています。これ以外にも、明確性要件、実施可能要件、サポート要件、新規性・進歩性など多くの要件があって、これらすべてに違反しないと審査官によって判断された場合のみ、その発明は特許されます。これは評価ではありません。特許査定された発明に優劣上下はなく、すべての特許はひとしなみに扱われます。引用回数などの尺度によって、技術上の重要度が測られることがありますが、これは特許庁がそれぞれの特許に付与するものではありません。
一方、Googleは(内実を公開していませんが、おそらく)多くの評価基準によって、それぞれのwebページを評価し、それらを評価の値に従って序列づけ、検索順位を決定していると思われます。その前に、公序良俗に反するといった理由で排除されるページはあり、これは特許審査のような審査といえますが、その先には明らかな価値判断があります。これは特許審査とは大きく異なるものです。
そしてもうひとつの相違は、公かどうかです。特許庁は行政機関であって、公正公平な処理を求められますし、実際に、かなりの程度、それは実現されていると思います。出願人としての利益から、処分に対してこのやろーと不満を感じることもありますが、一歩引いて、法が公正公平に運用されているかという観点から捉え返すなら、残念ながら納得せざるを得ない、という局面がほとんどです。たとえば各種手続きの期限については、どの出願人に対しても、法に基づき定められたとおりの同じ扱いが行われ、完全に公平です。このような公平性が審査基準室等によって統率されています。その意味では──現状の他のいくつかの行政機関と異なり──特許庁の公正性は信頼に足るものだと思います。
ところが、Googleは営利企業であって、それも徹底して利潤を追求する企業です。検索ユーザの利益を最優先すると謳ってはいますが、検索エンジンとしての利益の最大化のために、それが競争優位に資するからそうしているだけです。確かに、検索に対する表示結果は、彼らなりにユーザの利益を最優先する内容になっているかもしれません。なるほど、webページを彼らの提示するルールに沿うようにつくりかえれば、それに伴って検索順位は上昇します。その意味ではフェアです。でも、その検索結果の上に、あざ笑うかのように広告が居並んでいるわけです。これにはSEOでどうあがいても勝ち目がありません。検索は広告のための客寄せの撒き餌であるとの位置づけを隠しもしません。広告費を払えば、検索ユーザが支持するサイトよりも多くのアクセスを得られるとあからさまに見せつけています。公正公平など元よりあったものではありません。とはいえ、商行為なのですから、とやかくいえるたぐいのものではありません。むしろ、明確に「広告」と表示し、おおっぴらにやっていて、すがすがしいくらいです。
結局はGoogleに屈して、安くはない広告料を支払わざるをえないかもしれません。検索上位に表れているのに広告を出している会社もありますし、検索圏外でも広告だけで集客できているらしいところもあるようなので、リスティング広告は必要なのかもしれません。
ただ、まだはじめたばかりで、勝手がわかりません。特許でも商標でも、ある程度制度を把握して攻略できたと思えるようになるまでずいぶんかかりました。意匠はまだまだです。そして、web検索についても、まだ場数が足りず、相場観がわかりません。昔からゲームとか関心なくて、攻略なんてあほらしと思っていたのですが、目的が別にあってその実現のための手段なら、ゲームも攻略も俄然やる気湧きます。
[…] 昨日の投稿で […]
[…] これまで何回も、特許制度は公正公平だ、と述べてきました。こことか。 […]