従来型の工法で満足できる品質を得るべく格闘してきましたが、どうしてもものにならず、あきらめました。そこそこの品質になるのはわかっていたものの、高コスト、一部に難点がある製造法に戻りました。
結果として、この間の試行錯誤は無駄だったことになりますが、まだわかりません。いずれ、従来型の延長に解決策が見つかるかもしれません。ただ、今は先を急ぐので、安定してそこそこの結果が得られる方途を暫定的に採用する、というだけです。
ずいぶん長く使われてきた材料なので、従来法の範囲内で解決策はあるのではないか、とも思うものの、この要求水準の用途はなかったかもしれず、これが限界なのかもしれません。
ネタばらしすると、接着です。こんなに苦労するものなのか、とも思うのですが、なにしろこの分野では全くの新参者なので、蓄積された経験知にアクセスできません。同業者のノウハウから遮断されているのです。既製品と、公開情報で仕入れられる程度のことはやりました。あとは溶剤の組み合わせを片っ端から試行錯誤していくくらいしかできず、うまくいく見通しもありません。取引先に頭下げたら教えてもらえるかもしれませんが、これについて取引先がノウハウもってるかどうかも定かではありません。こういう暗黙知は、あるかどうかすら不明、新規参入を阻むバリアであって、参入側からするとやっかいですが、いったん獲得してしまうと、先行者の優位を確保してくれる楯になります。事業規模が大きいと、抜け駆けしてノウハウを売り渡す者が出てきて技術水準が均衡化しますが、市場が狭ければ、獲得の難度が高いほど、競争優位の根拠となります。商圏を拡げずこじんまりとやっていく方が、存続期間が長くなると見込まれます。ただし、そのノウハウを獲得するのが最低条件で、秘匿し続けるのが次の条件です。
ともあれ、当面は高コストの既成工法でしのぎます。いろいろ不満はあるのですけど、目をつぶらないと先に進めません。何とか安く上げようとあがきましたけど、今やるべきことではなかったかもしれません。それなりの費用かけてこしらえた治具は無用の長物となり果てました。でも、そんなのあたりまえです。
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